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「私だって・・・雨くらい平気です。」
掛けたジャケットの下から消えそうな声で答えた。

「いいじゃんか、濡れない方が楽だろ。」
兵士に傘は無い、いつでもどんな時でも俺達は雨に打たれる。
いくらロンドンっ子でも慣れない身にはキツイだろう。

「それはそうだけど・・・・煙草臭い。」
「え?そうか?ちゃんと洗ってるんだけどな。」

「だってマスターと同じ・・・」
「違う」

急に強く遮られて驚いたらしい。目を丸くして見返してくる。


「安煙草さ、俺の煙草の匂いだろ。」


何故ムキになったのか、自分でもわからない。
くるりとそっぽを向いた彼女の背中を見つめながら煙草を
吸い込んだ。

あっという間に煙草が灰になる・・・
細い肩が少し震えていた。何か俺に言いたい事でもあるん
だろう。


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